法定相続情報一覧図とは?取得方法・必要書類を司法書士が解説

法定相続情報証明制度とは?取得方法・必要書類・メリットを司法書士が解説

相続手続きを進める際には、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍などを集め、銀行・法務局・年金事務所など、それぞれの手続先へ提出する必要があります。手続先が複数あると、戸籍一式を何度も提出したり、返却を待って次の手続きへ進めたりしなければならず、大きな負担となります。この手間を大幅に軽減してくれるのが、法定相続情報一覧図を交付してもらえる「法定相続情報証明制度」です。
法定相続情報一覧図の写しがあれば、分厚い戸籍の束の代わりに、複数の相続手続きをスムーズに進められます。

この記事では、司法書士法人輝誠法務事務所が、法定相続情報一覧図の仕組み・メリット・取得手順・必要書類・注意点まで、わかりやすく解説します。

目次

  1. 法定相続情報証明制度とは
  2. 「法定相続情報一覧図」と「相続関係説明図」の違い
  3. 法定相続情報一覧図を使う3つのメリット
  4. 法定相続情報一覧図はどんな手続きに使えるのか
  5. 法定相続情報一覧図|取得までの3ステップ
  6. 法定相続情報一覧図の主な必要書類
  7. 申出できる人・申出先の登記所
  8. 法定相続情報一覧図の保管期間と再交付
  9. 注意点・デメリット
  10. まとめ

法定相続情報証明制度とは

法定相続情報証明制度とは、被相続人(亡くなった方)と法定相続人の関係を一覧にした「法定相続情報一覧図」と戸除籍謄本等を法務局へ提出し、登記官の確認を受けた一覧図の写しを無料で交付してもらう制度です。
登記官が、一覧図の内容が戸除籍謄本等から判明する法定相続関係と一致していることを確認し、認証文を付した写しを交付します。制度は2017年(平成29年)5月29日に始まりました。

▶ 参考:法定相続情報証明制度の具体的な手続について(法務局)

「法定相続情報一覧図」と「相続関係説明図」の違い

混同されやすいのが「相続関係説明図」です。両者は似ていますが、法務局の認証(お墨付き)があるかどうかが決定的に異なります。

項目法定相続情報一覧図相続関係説明図
法務局の認証あり(登記官の認証文付き)なし
作成・交付相続人等が作成し、法務局が写しを交付申請人等が作成
戸除籍謄本等の代わり多くの相続手続で戸除籍謄本等の束に代えて利用できる単独では戸除籍謄本等の代わりにならない
主な利用場面相続登記、預貯金、相続税、年金、自動車登録など主に相続登記における戸籍等の原本還付
交付手数料無料法務局による交付制度ではない

大きなポイントは「使える範囲」です。相続関係説明図は、主に不動産の相続登記の際に、提出した戸籍謄本の原本を返してもらう(原本還付を受ける)ために作成するもので、法務局の認証がないため、それ単体では戸籍の束の代わりにはなりません。一方、法定相続情報一覧図は登記官の認証文が付されているため、その写しを戸除籍謄本等の束に代えて、相続登記、預貯金の払戻し、相続税の申告、年金手続きなど、多くの相続手続きに利用できます。

法定相続情報一覧図を使う3つのメリット

戸籍謄本の束の代わりに法定相続情報一覧図の写し1枚で複数の相続手続きに使える流れを示した図

1. 必要な通数を無料で交付してもらえる

一覧図の写しは、申出時に必要な通数を無料で交付してもらえます。戸籍謄本のように、1通ごとに交付手数料がかかるものではありません。
ただし、一覧図を作成するために必要な戸籍謄本や住民票などの取得費用は別途かかります。

2. 複数の相続手続きを同時に進められる

戸籍謄本の束を1セットしか用意しない場合、一つの窓口が終わってから次へ…と順番待ちが発生します。戸籍を複数セット取得すれば同時並行も可能ですが、その場合は取得費用が2倍・3倍にふくらみ、収集の手間も増えてしまいます。その点、法定相続情報一覧図なら写しを無料で複数枚交付してもらえるため、戸籍を複数セット取得する追加費用を抑えながら、不動産の名義変更、預貯金の払戻し、相続税の申告などを同時並行で進められます。

3. 分厚い戸籍の束を持ち歩かなくてよい

被相続人の出生から死亡までの戸籍は、数十ページに及ぶことも珍しくありません。一覧図の写しは、被相続人と法定相続人の関係を見やすくまとめた書面です。
相続人が多い場合などは複数枚になることもありますが、多くのケースでは一覧図によって相続関係を簡潔に確認できます。そのため、戸籍の束を持ち運ぶ負担や、窓口で戸籍を一枚ずつ確認してもらう時間を減らせます。

法定相続情報一覧図はどんな手続きに使えるのか

法定相続情報一覧図の写しは、被相続人の死亡に起因する相続手続きや年金等の手続きに幅広く利用できます。主な例は次のとおりです。

  • 不動産の相続登記(名義変更)
  • 預貯金の払戻し・名義変更(銀行・信用金庫など)
  • 有価証券(株式・投資信託)の名義変更
  • 相続税の申告
  • 遺族年金・未支給年金などの年金手続き
  • 自動車の名義変更 など

ただし、法定相続情報一覧図だけですべての手続きが完了するわけではありません。遺産分割協議書、相続放棄申述受理証明書、印鑑証明書など、手続きの内容に応じて別の書類を求められることがあります。
また、金融機関や保険会社等によって取扱いが異なるため、提出前に必要書類を確認しておくと確実です。

なお、2024年4月から相続登記は義務化されています。相続登記の期限や過料については、弊所のコラム「相続登記の義務化とは?期限・過料・放置リスクを司法書士が解説」もあわせてご確認下さい。


相続登記では「法定相続情報番号」も利用できます

2024年4月1日以降、不動産の相続登記などでは、法定相続情報一覧図の写しを添付する代わりに、申請書へ「法定相続情報番号」を記載する方法も利用できるようになりました。
ただし、この方法を利用できるのは法務局で行う不動産登記等の手続きに限られます。金融機関、年金事務所、税務署など、法務局以外の手続きでは、従来どおり一覧図の写しを提出します。

法定相続情報一覧図|取得までの3ステップ

法定相続情報一覧図を取得する3つのステップ(必要書類の収集・一覧図の作成・登記所への申出)

STEP1 必要書類を集める

被相続人の出生から死亡までの戸除籍謄本等、住民票の除票、相続人全員の現在の戸籍謄抄本などを収集します(詳細は後述)。

STEP2 法定相続情報一覧図を作成する

被相続人と相続人の関係を一覧にした図を作成します。
法務局のサイトには、家族構成に応じた様式と記載例が用意されています。該当する様式を参考に、被相続人と法定相続人の氏名、生年月日、続柄などを記載して作成します。

▶ 参考:主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例(法務局)

STEP3 申出書を記入し登記所へ申し出る

申出書に必要事項を記入し、STEP1・STEP2の書類と一緒に登記所へ提出します。確認後、認証文付きの写しが交付されます。
申出は登記所の窓口だけでなく、郵送でも行うことができます。郵送で一覧図の写しや戸除籍謄本等の返却を受ける場合は、返信用封筒と郵便切手を同封します。

法定相続情報一覧図の主な必要書類

ケースによって追加書類が必要になることもありますが、基本的な書類は次のとおりです。

  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍(除籍)謄本
  • 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
  • 相続人全員の現在の戸籍謄抄本
  • 申出人(手続きをする相続人)の氏名・住所を確認できる公的書類(運転免許証のコピー等)※運転免許証などのコピーを提出する場合は、申出人が原本と相違ない旨を記載して記名します。
  • (一覧図に住所を記載する場合)一覧図に住所を記載する相続人の住民票の写し、戸籍の附票または印鑑証明書

申出できる人・申出先の登記所

申出ができるのは、被相続人の相続人または、その相続人の地位を相続によって承継した方です。
代理人へ委任することもでき、法定代理人のほか、申出人の配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族、司法書士・弁護士・税理士・行政書士など、一定の資格者が代理人となれます。

申出先は、次のいずれかの地を管轄する登記所(法務局)から選べます。

  • 被相続人の本籍地
  • 被相続人の最後の住所地
  • 申出人の住所地
  • 被相続人名義の不動産の所在地

この制度は、日本の戸除籍謄抄本等によって法定相続人を確認する仕組みです。そのため、被相続人や相続人が外国籍であるなど、必要な戸除籍謄抄本を提出できない場合は、制度を利用できません。

なお、法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載するかどうかは任意です。住所を記載する場合は、その住所を証明する書類が必要になります。

海外に居住している日本国籍の相続人についても、在外公館が発行する在留証明書などを住所証明書として提出し、海外住所を一覧図に記載できる場合があります。利用できる書類の取扱いは申出先の法務局へ事前に確認しておくと確実です。
なお、一覧図に海外住所が記載されていても、金融機関から在留証明書や署名証明書などの追加提出を求められることがあります。

法定相続情報一覧図の保管期間と再交付

法定相続情報一覧図は、申出日の翌年から起算して5年間、法務局で保管されます。この期間内であれば、一覧図の写しの再交付を無料で受けられます。

再交付を請求できるのは、原則として当初の申出人です。また、再交付の申出先は、最初に一覧図の保管を申し出た登記所となります。

なお、保管期間が経過したからといって、すでに交付された一覧図の写しが直ちに使えなくなるわけではありません。利用できるかどうかは提出先の取扱いもあるため、古い一覧図を使用する場合は事前に確認するとよいでしょう。

注意点・デメリット

  • 法定相続情報証明制度を利用しても、法務局が戸籍を集めてくれるわけではありません。ご自身で申出を行う場合は、必要な戸除籍謄本等を収集し、一覧図と申出書を作成する必要があります。
  • 相続放棄や遺産分割の内容は一覧図には反映されません(あくまで法定相続人の一覧です)。
  • 数次相続、代襲相続、兄弟姉妹・甥姪が相続人となる場合、前婚のお子さまがいる場合などは、必要となる戸籍の範囲や一覧図の記載内容が複雑になります。戸籍が不足していたり、一覧図の続柄や記載内容に誤りがあったりすると、追加書類の提出や一覧図の修正を求められます。
  • 一覧図の写しの交付自体は無料ですが、戸籍謄本・住民票など必要書類の取得には所定の手数料(実費)がかかります。
  • 法定相続情報一覧図には、遺産分割協議の内容や各相続人の取得財産、相続分は記載されません。不動産や預貯金を誰が取得するかを証明するには、別途、遺産分割協議書や遺言書などが必要です。
  • 一覧図に記載された住所が後から変わっても、住所変更を理由として一覧図を作り直すことはできません。住所を記載するかどうかは、利用予定の手続きも踏まえて決めます。

まとめ

「どこまで戸籍を集めればよいか分からない」「相続人の範囲が複雑で一覧図を正しく作れるか不安」「相続登記や預貯金の手続きもまとめて進めたい」という場合は、司法書士へ依頼する方法があります。
司法書士は代理人として、戸籍の収集から一覧図の作成、法務局への申出、その後の相続登記まで一括してサポートできます。

司法書士法人輝誠法務事務所では、法定相続情報一覧図の取得はもちろん、相続登記・遺産整理まで一貫してお手伝いしています。相続手続きでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
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